私はお客様企業のシステム運用を担当しています。システム運用とは、アプリケーションやインフラ(サーバ、ネットワークなど)がトラブルで停止しないように、それらシステムを管理する仕事です。必要に応じてシステムの修正を行います。
この業務をRPAツール「Blue Prism」で効率化しましたので、今回はそのお話をします。
目次
RPAとは
RPAとは「Robotic Process Automation」の略称で、デスクワークの定型業務をパソコン上のソフトウェア型ロボットが代行および自動化する技術です。AI(人工知能)と混同されやすいですが、RPAには学習能力はなく、あくまでも人間が定めたルールの通りにソフトウェアが動くところがポイントです。
現在、多くのRPAソフトウェアが展開されており、日本でよく使われているものとしては、「Blue Prism」をはじめ、「UiPath」「WinActor」「BizRobo!」「Automation Anywhere」などが挙げられます。
RPAツール「Blue Prism」とは
Blue Prism は、RPAのパイオニアである英Blue Prism社からリリースされているRPAツールで、全世界で1600社以上の導入実績があります。日本でも2017年から日本語化の対応がされたこともあり、利用が広がってきています。
ロボットの作成、実行、管理が一つのツールにまとまっているのが特徴で、フローチャートでプログラミングをしていくため、プログラミングに詳しくない人でもGUIベースで開発をすることができます。
導入企業が多いため、RPAロボットの活用ノウハウや、構築プログラムが公開されており、公開プログラムをダウンロードして、自社のRPAロボットに組み込めます。
Blue Prism でタスク管理・システム変更管理業務を効率化
私のシステム運用の職場では、個人およびメンバーのタスク量を把握するため、システム運用業務のタスク管理にチケット管理ツールを導入しています。タスクが発生した場合、1タスクに対し1チケットを起票します。そして各メンバーへチケットをアサインすることで、タスクの割り振りを行っています。
それに加えて、システム変更履歴の管理にもチケット管理ツールを使用しています。
そのため、システム修正のタスクが発生した場合、タスクが1つにも関わず、タスク管理とシステム変更管理、2つのチケットを起票しなければなりません。この2つは記述内容が被っている部分も多くあったのですが、用途が異なるために別々に利用されていました。
そこで、お客様企業で使われていたRPAツール・Blue Prismで、この業務を効率化することにしました。
具体的には、システム変更管理DBにメンバーが⼊⼒した項目のデータをBlue Prismに読み込ませ、タスク管理DBに自動入力させます。こうすれば、各メンバーはわざわざタスク管理のためにチケットを起票せずに、自動的にアサインされます。
Blue Prism 導入のポイント
ヒアリングからプログラム、テストなど、全ての作業を完了するのにチーム5人で半年間ほどかかりました。当初は2ヶ月程度を見越していたのですが、はじめてBlue Prismを使用したこともあり、予測よりも多くの工数が必要になりました。手間取ってしまった要因は、Blue Prismの問題ではなく、「リソース不足」と「要件の変更」という課題があったからです。
リソース不足
このシステム運⽤業務のタスク管理・システム変更管理は、数百⼈のメンバーが使⽤しています。そのため、重複起票によりネットワークが重くなり、CPUのリソースが不足するなど問題が発生していました。
この状態では、起票してもBlue Prismロボットが適切に稼働できず、そのレコードが抜け落ちてしまいます。これを避けるため、テスト運用の時にはメンバーの起票をすべて停止してもらう必要があり、何度も時間調整を行いました。
根本的なリソース不足の課題を事前にクリアできていれば、もっとスムーズに進められていたでしょう。
要件の変更
Blue Prismは、細かい設定はあるものの、フローチャートでプログラミングしていくため開発工数自体はそこまでかかりません。ただ、使用する側の仕様や要件が変わると、当然ですが都度作り直しが必要です。ユーザーが「効率化されている」と実感がなくては、せっかくのRPAロボットも活用されません。ユーザーの要件に沿いつつ、開発スピードを上げるためには、最初に要件をしっかりと決めておくことが重要であると感じました。
これらの課題をトライ&エラーで解決しました。
その他にも、公開したRPAロボットをさらに使いやすくするため、チケットをクローズ状態にしていない人へ、クローズの案内メールを自動送信するプログラムなど、RPAロボットを拡張し、より利便性を高めました。
RPAのご相談はtdiへ
最近はIT業界だけでなくいろいろな業界でRPAが活用されているニュースをよく見かけ、その広がりを日に日に強く感じられます。そして、これからはRPAがAIと組み合わさり、AIが自己判断してRPAロボットを動かしていくようになるのではないでしょうか。
もしご興味あれば、RPAロボットが各ベンダーから無償で提供されていますので、試しに開発してみてはいかがでしょうか。自分の定型業務が楽になり、更にRPA開発に携われます。
ご自身でRPAを導入するのは難しい場合は、「RPA導入支援サービス」を提供しているtdiにこちらからお気軽にご相談ください。RPAの企画構想フェーズから、PoC(Proof of Concept:概念実証)、本番導入、運用サポート、そして人財育成に至るまでトータルサポートいたします。
執筆者プロフィール
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仙台で色々な国の方と協力しながら日々の業務に尽力。
ロボット開発から始まり、今はAIXとNetcoolと格闘中。
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